コロンビア大学のコア・カリキュラムに則ったリベラルアーツをご紹介いたします。
ジャンルとしては「哲学」「宗教」「芸術」「サイエンス」の4分野がありますが、教えるのはその専門技術ではなく、歴史も含めた成り立ちや思想です。それだけのことを教えられる教員が質量ともに備わっている大学は、世界にそう多くはありません。それがコロンビア大学の優位性であり、言い換えるならリベラルアーツの真髄を知る人は世界でもごく少数に限られるのです。
それらの授業で展開されているのは、一般教養というようり人間修養のためのトレーニングです。
すべての学生は、専攻とは関係なく、最初の2年間で2千数百年前分の膨大な古典書を注釈書ではなく翻訳原書を読むわけで、まさに修行にような苦難の道です。
つまり、それらの書は現代のわれわれからすればはるかかなた昔のことであるのは重々知った上で、あえてそれらの書を苦労して読むことで、私たち祖先がどのような時代にどのように生き、そして何を考え、何を忌み嫌い、何を尊んだかを考えるようになる。そのプロセスが大切だと説いているのです。
中村聡一著書 「教養としてのギリシャ・ローマ」より